ホーム > 協会の活動 > 平成30年度 彩の木いい家コンテスト

協会の活動

1コンテストの内容

1. 開催の趣旨

 埼玉県は、県土面積の約32%が森林です。山地や丘陵はスギやヒノキの成長に適しており、植林が盛んに進められました。現在、埼玉県の森林は、民有林における人工林の約8割が木材として利用可能な林齢(50年以上)に達している一方、木材需要の低迷などにより伐採される人工林が少なく、再造林される面積が極端に少ない「森林の高齢少子化」が進んでいます。
 彩の木いい家コンテストは、良質なさいたま県産木材の木造住宅を広く県民の皆様に知っていただくことにより、県産材の地産地消を推進し、「伐って、使って、植えて、育てる」森林の循環利用を促進させて、埼玉の森林を守ることを目的に開催されました。

2. 募集内容

 彩の木補助事業の利用実績があり、埼玉県内に事業所または営業所を有する者が施工した新築の一戸建て木造住宅を対象とし、さいたま県産木材を積極的に活かす工夫、木造住宅ならではの魅力、ずっと楽しく快適に暮らすためのこだわり、地域の気候風土や地球環境への配慮など、世界にたった一つの家を自慢していただきました。

3. キャッチフレーズ

木のぬくもりを感じる家 心の安らぎを感じる家 木の家で理想の暮らし

4. 応募状況

 平成30年8月1日~平成30年10月15日の募集期間中に、14件の応募がありました。

5. 表彰式

 令和元年5月24日(金)、埼玉会館(さいたま市浦和区)において表彰式を行いました。表彰式には、埼玉県農林部副部長 野口典孝様をはじめ、彩の木いい家コンテストの審査員である、一般社団法人埼玉建築士会会長 江口満志様、埼玉県農林部森づくり課長 荒木恭志様、一般社団法人埼玉県木材協会会長 坂東正一郎が出席し、受賞されたみなさまに賞状と副賞を差し上げました。

表彰式
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2受賞作品のご紹介

最優秀賞・埼玉県知事賞
「風と太陽を五感で感じる栖」

建築主 Iさん(埼玉県児玉郡上里町)
設計者 株式会社小林建設一級建築設計事務所
埼玉県本庄市児玉町児玉2454-1
施工者 株式会社小林建設
埼玉県本庄市児玉町児玉2454-1
納材業者 株式会社ウッディーコイケ
埼玉県秩父市下影森181
延床面積 143.25㎡
さいたま県産木材使用材積 19.28㎥
  • 玄関
  • 外観
  • 外観
  • 和室
  • リビング
  • キッチン
  • 2階
  • リビング
  • リビング

講評

 「構造をどのように美しく見せるか」を重要視し、見える場所・魅せる場所を考慮している。重くならずにすっきりとしたデザインになっており、室内空間が広く感じられる。柱の最低寸法は4寸角、垂木も巾4寸×せい(高さ)5寸の三尺ピッチでの配置で、木造の力強さを感じるとともに安定感がある。プレカットでありながら、金物を見せない努力も素晴らしい。
外壁は、木張りとリシンカキオトシ。内壁には珪藻土を塗り、柱・梁とのコントラストが美しく演出されており、眺めているだけで癒やされる。
玄関には鉄平石を採用し、お客様を招き入れる優しい空間が作られている。サッシ建具には障子を使用し、柔らかい光が差し込む。室内空間は全て自然素材で仕上げられている。
段差をなくして全ての部屋に引き戸を取り入れることで、建物のバリアフリー化に加え室内を開放的に使えるようにし、暑い夏でも風が通り抜け涼感を得ることができるよう工夫されている。また、冬は、空気集熱式床暖房のOMソーラーにより床下空間を空気で温める地球に優しい全館暖房で、「地元の材を使った夏涼しく、冬暖かい家にしたい」という施主の希望を見事に実現している。
今回は、築70年になる建物の建て替え。解体時に県産材の欅の柱や梁を取り外し、新築した家のキッチンカウンターや机に加工し再利用している。思い出を新しい形で受け継ぎ、これからも大切にしていこうとする施主の気持ちが感じられる。

優秀賞
「秩父大庇の家」

建築主 Mさん(埼玉県秩父市)
設計者 株式会社大島博明建築研究所
神奈川県横浜市旭区万騎が原40-7
施工者 株式会社いのうえ工務店
埼玉県秩父市黒谷368-1
納材業者 株式会社ウッディーコイケ
埼玉県秩父市下影森181
延床面積 164.39㎡
さいたま県産木材使用材積 39.14㎥
  • 外観
  • 玄関
  • 和室
  • リビング

講評

 「構造体そのものが木造住宅のデザインである」をコンセプトに、構造材を隠蔽せずに小屋組みをあらわしとしている。構造材、間柱、内装材及び家具すべてにおいて秩父産木材を活用し、「オール秩父産木材の家」となっている。また、秩父銘仙の柄を建具や障子に使う、小川和紙を積極的に活用する等、施主の地元への愛情が強く感じられる家である。
エントランスを入ると施主手作りの光庭がある。東側にはリビング、西側には個室とゲストルーム(和室)がある。リビングは、構造金物を小屋裏内に納めながら構造体を極力あらわしとしたダイナミックな空間。一方和室は、小屋組みの露出部分を抑え落ち着きのある空間となっており、きっちりとゾーン分けがされている。また、塀のないオープンな敷地の前面には、施主が庭づくりや野菜づくりを楽しむための空間が広がっており、広い敷地を活かしてゆったりと建てられた家だと感じる。
敷地は、東南に武甲山を望み、北に荒川が流れ、前面には山々が連なる。午前中に荒川から武甲山に向かって吹く川風、午後に武甲山から荒川に向かって吹く山風の「風の道」を確保するため、すべての居室に常時開放可能な通風窓を設置し快適な空間を実現している。
柱材はすべて4寸角。大庇を支える登り梁と小屋梁を連続させて、桁で支持する安全で合理的な構造となっている。大庇の登り梁はH240×120を910ピッチで構成し、小屋裏内で結束補強することでより安全な小屋組みとしている。
自然素材と無垢の木材が調和した、豊かで健康的な住まいである。

優秀賞
「木が見えるぬくもりの家」

建築主 Yさん(埼玉県飯能市)
設計者 丹呉明恭建築設計事務所
埼玉県狭山市つつじ野2-16-107
施工者 有限会社宮一技工
埼玉県東松山市松山2339-3
納材業者 大河原木材株式会社
埼玉県飯能市大河原89
延床面積 94.19㎡
さいたま県産木材使用材積 29.78㎥
  • 外観
  • 柱と梁
  • 和室
  • 廊下

講評

 木のプロが選び抜いた美しい西川材を使って、大工が伝統構法で丹念に作り上げた家である。木材の欠点やクセを知り尽くした大工が、木の力を最大限に引き出し、適材適所に用いている。すべて大工による手刻み。継手・仕口や込み栓など、木と木を木によって組み上げ、金具には頼らない。
柱や梁等ほとんどの構造材をあらわしとし、また天井を張らずに垂木、化粧野地板、母屋もあらわしである。耐震性向上のため、火打ち梁も設けている。
壁は漆喰塗りの左官仕上げで、表情を出すために蔦を大量に入れオリジナル感を出している。無垢材との相性も良い。玄関の敷瓦は特注品で、大きさの違いや色ムラを活かして並べてあり、欅の式台も含めて趣がある。
余計なものは見せずに隠す工夫、部屋を広く見せるための間仕切りの工夫、快適に生活するために導線を確保する工夫、将来子どもが成長したときを考えた工夫など、一つ一つ丁寧に考えられている。
「掃除機をかけるだけでほかには何も手入れしていない」という施主の言葉どおり、60年以上の使用を前提として建てた無理のない、住みやすい、住まい手と作り手が一緒になってつくった家という印象が残った。

特別賞
「だんだん育つ家」

建築主 Nさん(埼玉県本庄市)
設計者 株式会社小林建設一級建築設計事務所
埼玉県本庄市児玉町児玉2454-1
施工者 株式会社小林建設
埼玉県本庄市児玉町児玉2454-1
納材業者 株式会社サイモクホーム
埼玉県大里郡寄居町大字三ヶ山389-5
延床面積 135.80㎡
さいたま県産木材使用材積 19.98㎥
  • インナーバルコニー
  • リビング
  • 玄関
  • 外観
  • 外観
  • リビング
  • 玄関

講評

 大壁造りの内部ではあるが、吹き抜け空間に梁・垂木・棟木を意匠的に配置しており、心地いい木の感覚を演出している。玄関は豆砂利洗い出しで、式台にはタモの一枚板を使用。玄関から広いリビングがパッと目に入り、間取りの素晴らしさに感心した。
壁は珪藻土、天井には和紙を使っている。自然素材を上手に使用し、シンプルで上品な仕上がりになっている。
建物に高さの変化をつけ高窓を設置し、立体的に温度差換気を行っている。さらに、空気集熱式床暖房を採用することで基礎断熱を行い、全館暖房にしている。
子育て世代の家としての大きな特徴は、子どもの成長に合わせた使い方ができること。子どもが小さいうちは、家族全員が2階の部屋で一緒に寝る。子どもが大きくなってきたら、2階の部屋を個室に分けて子ども部屋に。子育てを卒業し夫婦が年老いたら、1階のみで生活が完結できる。使いやすく長く住むことができ、将来に向けて工夫された、正に「だんだん育つ家」である。
施主の希望が細かいところまでよく取り入れられており、住まい手良し、作り手良し、材料良しの3拍子揃った家。木を魅せるデザイン、色使いのセンスの良さ、リビングの大きな窓、間取りの素晴らしさ、長く住み続けられる工夫が評価され、一般投票で第1位を獲得した。
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